
「手間のかかるのは、船内で隔壁などに使われていた産業廃棄物的なもの、例えば、断熱材などを手作業で取り除かなければ海中投棄が出来ないことです。それらをすべて行って、すべての作業が終わるのは、一〇月末でしょうね」
座礁船対策連絡会議
温海町の呼びかけで、座礁したまま放置されている外国船の処理に悩む全国十一市町村が「座礁船対策会議しを結成し、九月二一日東京で初会合を開いた。
初会合には、温海町のほか根室市、青森県車力村、上越市、静岡県南伊豆町、鹿児島県中種子町の六市町村の担当課長が出席した。
加盟十一市町村のうち、温海町、稚内市、上越市と福岡県岡垣町は座礁船の撤去を終えているが、残る七市町村は、現在も放置されたままとなっている。
初会合では、温海町の榎本総務課長が「座礁船で一番苦労しているのは海を抱える自治体。何の責任も原因もないのに大切な町民の税金を使って撤去を強いられ、撤去しても後に残るものは何もない。これからは関係市町村が力を合わせていきたい」と述べ、各地の現状報告を行った。
この中で榎本課長は、現在撤去中のN号について紹介「撤去義務は船主の中国にあると確認されながら放置され続け、漁業などへの影響からやむなく県と町が撤去を決断、一億三千万円の支出を強いられた。放置された外国船について現行の法制度では公的に撤去命令を出す根拠がないうえ、船会社がぺーパーカンパニーだったりして、交渉もままならない。結局自治体が泣く泣く費用を負担せざるを得ない」と報告、各自治体からも同様に不満の声が集中した。
また、交渉の相手が外国のため市町村レベルでは限界があることから、温海町を窓口に関係市町村の意見を集約、財政支援と併せ国に行動を促していくことを申し合わせた。
おわりに
わが国は、四周を海に囲まれ、外国との交易も盛んなことを考えるとき、外国船の往来が今後とも増えることが予測される。また、それとともに外国船の漂着や座礁事故も続くものと思われる。
このようなとき、座礁船の問題を国内、国際両面から検討し、解決策を見いだす必要があることを痛感した。
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